修理にまつわる様々な事を、少しずつ書いていこうと思います。
初回は、意外にも多く依頼がくる、「器の取っ手/持ち手の修理」について。
買ったばかりだったのに…というお声も多く聞かれます。
実は、使っていて割れやすいだけではなく、器を作るときも割れやすいんです。
制作中や乾燥中にヒビが入ったり、うまく乾燥まで持っていけても窯に入れるときに軽くコツンとぶつけようものなら、本体は無事でも取っ手はバラバラに。。
そんな繊細な取っ手なので、使っていて割れてしまうのもわかります。
モノ継ぎでは、直接口に触れない箇所であれば、漆以外の合成接着剤での修理も承っております。
直した後の強度で考えると、漆と合成接着剤に大差はないように思うし、費用も割安、修理期間も短い合成接着剤の修理もお勧めするのですが、実際はほとんどの方が漆で直す方を選びます。
これは、どういうことなんだろう。
先日のd&departmentさんでの公開受付の時にも感じたのですが、金継ぎという少しマニアックな技法が、確実に受け入れられてきているんだな、ということ。
後もう一つは、お金を払ってまで直したいと思う大切な器なんだ、ということ。
漆という、唯一無二の素材。どんなに科学が発達して便利な接着剤や塗料が開発されても、漆に勝る物はないと思っています。
大切な器だからこそ、ちゃんと日本で採れた国産の漆で直す。
当たり前のようで、でも、ほとんどの人が合理化によって忘れてしまっている事のように思います。
器の取っ手の修理を、国産の漆を使った漆継ぎ(金継ぎ銀継ぎ)で修理依頼をする方がいる。
この仕事をしていて、嬉しいことの一つです。確実に。
最後までお読みくださった方、感謝申し上げます。。。
次回は、漆と合成接着剤の違いについて書こうと思います。
「モノ継ぎ」持永かおり